お知らせ

税制改正【相続税・贈与税】

相続税・贈与税の改正

平成25年度税制改正に関する法律「所得税法等の一部を改正する法律案」が、平成25年3月29日 に国会で可決・成立しました。
相続税については、格差是正、富の再分配機能強化の観点から、基礎控除が引き下げられるとともに税率構造等の大幅な見直しが行われます。

相続税の基礎控除

相続税の「基礎控除はこれまで数度の改正を経て拡大されてきましたが、今回の改正案において相続税の課税基準を拡大するために下記のように引き下げられます。

  改 正 前
~H26.12.31
改 正 後
H27.1.1~適用
定額控除
法定相続人比例控除
5,000万円

1,000万円×法定相続人数
3,000万円

600万円×法定相続人数

 

相続税の税率構造

高額の遺産取得者を中心に相続税の負担を求める観点から、税率区分が6段階から8段階に変更となり、6億円超の部分については最高税率が50%から55%に引き上げられ、また、1億円~3億円以下の部分で40%とされていた税率は2億円~3億円以下の部分については45%に引き上げが行われることになります。

法定相続分に
応じる取得金額
改 正 前
~H26.12.31
改 正 後
H27.1.1~適用
税 率 控除額 税 率 控除額
~1,000万円以下 10% 10%
1,000~3,000万円以下 15% 50万円 15% 10万円
3,000~5,000万円以下 20% 200万円 20% 50万円
5,000~1億円以下 30% 700万円 30% 200万円
1億~2億円以下 40% 1,700万円 40% 1,700万円
2億~3億円以下 40% 1,700万円 45% 2,700万円
3億~6億円以下 50% 4,700万円 50% 4,200万円
6億円~ 50% 4,700万円 55% 7,200万円

 

 

未成年者控除と障害者控除

相続税から一定額差し引く未成年者控除・障害者控除については、控除額が長年据え置かれてきており、物価動向や今回の基礎控除等の見直しを踏まえ、引き上げられます。

  改 正 前
~H26.12.31
改 正 後
H27.1.1~適用
未成年者控除 20歳に達するまでの年数×6万円 20歳に達するまでの年数×10万
障害者控除 85歳に達するまでの年数×6万円
(特別障害者 12万円)
85歳に達するまでの年数×10万円
(特別障害者 20万円

贈与税の税率

贈与税について相続税の税率構造の改正に対応した見直しが行われる一方で、高齢者の保有資産の現役世代への早期移転を促し、消費拡大や経済活性化を図る観点から、直径日卑属(20歳以上)への贈与に係る税率構造を緩和する特例が新設されます。
この改正によって、現行は1つだけの贈与税率が、次のとおり「一般贈与財産」の場合と直系尊属から贈与を受けた場合の「特例贈与財産」の場合の2つになります。

◆一般贈与財産

基礎控除後の
課 税 価 格
改 正 前
~H26.12.31
改 正 後
H27.1.1~適用
税 率 控除額 税 率 控除額
~200万円以下 10% 10%
200~300万円以下 15% 10万円 15% 10万円
300~400万円以下 20% 25万円 20% 25万円
400~600万円以下 30% 65万円 30% 65万円
600~1,000万円以下 40% 125万円 40% 125万円
1,000~1,500万円以下 50% 225万円 45% 175万円
1,500~3,000万円以下 50% 225万円 50% 250万円
3,000万円~ 50% 225万円 55% 400万円

直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例

20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた財産に係る贈与税の税率構造を緩和する規定が租税特別措置法に新設されます。
この改正によって、父母から子、祖父母から孫などへの贈与税が緩和されることになります。

◆特例贈与財産

基礎控除後の課税価格 税 率 控除額
~200万円以下 10%
200~400万円以下 15% 10万円
400~600万円以下 20% 30万円
600~1,000万円以下 30% 90万円
1,000~1,500万円以下 40% 190万円
1,500~3,000万円以下 45% 265万円
3,000~4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円~ 55% 640万円

「特例贈与財産」のほかに「一般贈与財産」がある場合の調整計算規定について

同一年中に、直系尊属から贈与を受けた特例贈与財産とそれ以外の一般贈与財産がある場合の贈与税額の計算については、措置法第70条の2の4第3項(新設)で次のように規定されています。

贈与税額=「第一号」で計算した金額+「第二号」で計算した金額


「第一号」
=[{(特例贈与財産+一般贈与財産)-110万円}×特例贈与財産に係る税率-控除額]×特例贈与財産/(特例贈与財産+一般贈与財産)

「第二号」=[{(特例贈与財産+一般贈与財産)-110万円}×一般贈与財産に係る税率-控除額]×一般贈与財産/(特例贈与財産+一般贈与財産)

※一般贈与財産の価額については、同財産の中に贈与税の配偶者控除の適用を受ける財産がある場合には、一般贈与財産の価額から
贈与税配偶者控除額(2,000万円)を控除後のもの。

以上のとおり、「第一号」については特例贈与財産」係る税率で計算し、「第二号」については一般贈与財産に係る税率で計算をし、それぞれの贈与財産の価額か合計贈与価額(=特例贈与財産+一般贈与財産)のうちに占める割合を乗じて各号の計算を行うことになります。

小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例

基礎控除の引き下げ及び税率構造の見直しが行われた結果、地価が高い都市部では増税の影響が大きくなりすぎる懸念があり、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例について、居住用宅地の限度面積を拡大するとともに、居住用宅地と事業用宅地の完全併用を加納とする拡充が行われます。

限度面積 改 正 前
~H26.12.31
 改 正 後
H27.1.1~適用
A 事業用 400㎡以下

ABC
限定
併用

400㎡以下 A・B
完全
併用
可能
B 居住用 240㎡以下 330㎡以下
C 貸付用 200㎡以下 200㎡以下 AB
・C
限定
併用
限度面積
要件
(併用の場合の調整式)
A B×5/3 C×2≦400㎡
(Cと併用の場合の調整式)
A×200/400 B×200/330 C≦200㎡

一棟の二世帯住宅で構造上区分のあるもの(例えば、家屋の内部で行き来することができない構造など)について、被相続人の親族が相続または遺贈により取得したその敷地の用に供されていた宅地等のうち、被相続人及びその親族が居住していた部分に対応する部分は、同居しているものとして、特例の適用ができるようになります。

老人ホームに入所したことにより被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷の用に供されていた宅地等は、次の要件がみたされる場合に限り、相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例の提要ができるようになります。
イ 被相続人に介護が必要なため入所したものであること。
ロ 当該家屋が貸付け等の用途に供されていないこと。

相続時精算課税制度

贈与者の年齢要件が65歳以上から60歳以上に引き下げられ、受贈者に20歳以上の孫が追加されます。
この改正によって、贈与者が60歳以上であれば適用可能となり、また、父母だけでなく、祖父母からの贈与も同制度の対象に加わることになります。

  改 正 前
~H26.12.31
改 正 後
H27.1.1~適用
贈与者 65歳以上 60歳以上
受贈者 20歳以上の子である推定相続人
(代襲相続人である孫を含む)
20歳以上の子である推定相続人
20歳以上の孫

※年齢は、贈与の年の1月1日現在のもので、推定相続人であっても贈与者の直系卑属であるものに限ります。

教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置

高齢者の保有する資産を現役世代により早期に移転させ、その有効活用を通じて「成長と富の創出の好循環」につなげるためのひとつとして、子・孫に対する「教育資金」の贈与について、贈与税を非課税にする措置が新設されます。
項目と内容については別途ご覧ください。