税務調査の流れを知ってみよう!
日本では、所得背、法人税、消費財や相続税等について、納税者が自ら所得を算出して申告する申告納税制度が採られています。この制度において納税者が、税法に則り正しく申告しているかを調査するために税務調査が行われます。
できることなら税務調査を受けたくないというのが本音でしょうが、憲法第30条により国民には納税義務があります。納税者には納税義務と同時に税務調査に応じなければならないという「受忍義務」がありますので、税務調査を断ることができないのです。
避けて通れないのであれば少しでも早く調査が終わるよう準備しておきましょう。
それでは、税務調査においての留意点について述べさせて頂きます。
1.調査を受ける際の心構え
(1)普段どおりに・・・。
調査初日は緊張します。まず。現在の事業内容、会社概況を説明することにより心を落ち着かせることです。
(2)聞かれたことだけ答える。
調査官の質問の意図がわからないときは、余計なことは話さないで、聞かれたことだけ答えましょう。
(3)わからないことはわからないという。
調査は過去5年間遡及して行われますので、3年前の売上や経費のことを聞かれても、即答できなくて当然です。「わかりません(覚えていません)」と答えて、「後で調べて回答します」と返事してください。
2.税務調査の連絡があった後での対策。
(1)準備する書類。
・税務申告書 ・税務署への届出書 ・帳簿書類 ・請求書及び領収書 ・定款、議事録(役員給与の整合性の確認のため) ・社内規定(旅費、社内慶弔) ・給与台帳 ・年末調整関係資料(架空人件費や源泉所得税徴収の確認) ・契約書(収入印紙の有無) ・社内配席図 ・組織図の作成(会社概況の説明資料)
(2)帳簿書類の再確認。
帳簿書類にメモ書きや付箋が貼ったままになっていないか、確認しておきましょう。
(3)事務所の整理整頓。
①調査前日までの現金と出納帳の照合。
②調査に使う部屋だけでなく、机やロッカー、金庫の中、カレンダー黒板などの整理整頓。
税務調査を受けても否認される事項をできるだけ少なくするには、不断の注意が必要です。注意事項をまとめてみました。
1.代表者及びその親族からの借入金は資金ので出所を明らかにする。
過去の税務調査の事例で売上除外、架空仕入、架空外注費、架空人件費などで蓄積された資金を資金不足から「代表者等借入金」として表に出てきた事例が多いことから、その出所を詳しく聞かれます。
会社へ貸付を行う場合には、預金通帳・定期預金の解約計算書などにより資金の出所を明らかにするとともに、個人口座から法人口座へ振り込むなど後からでも事実を確認できるようにしておいてください。
これらの資料が不足していたり説明が不充分であれば、銀行調査により代表者及びその家族の預金を調査され、調査日数が長引くことになりますのでご注意ください。
2.売上
①売上計上時期(基準)は統一されて計上されているか。
②決算締め切り日までに引き渡した商品は売上に計上されているか。
3.仕入
①期末直前に仕入れたものは適正に棚卸資産に計上されているか。
②仕入れ割り戻しはきちんと計上されているか。
4.棚卸資産
①棚卸の実数を当たった時のメモ書きは保管しておく。
②返品がある場合の処理は適正か。
5.役員給与
事業年度の途中での役員報酬の改定は原則できません。特段の理由により変更する場合に事前にご相談ください。
6.福利厚生費・交際費等・消耗品費
役員の家事用資産が消耗品として計上されたり、個人的費用が計上されていないか、支出内容をよく検討してください。
以上の点を頭の隅にでも置いて誤りの少ない経理処理を目指してください。
(税理士 池田龍美)