「もしも」のときの経営セーフティ共済制度について
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度の愛称)は、国の機関である中小企業基盤整備機構が運営しています。
2020年3月末時点で約51万の企業や事業者等が加入しており、共済金の貸付け実績は、累計で約27万件、約1兆9,000億円となっています。
経営セーフティ共済は、連鎖倒産を予防するための共済制度です。自身の会社経営が健全でも、「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。
そのような不測の事態に直面された中小企業の方々が、必要となる事業資金を速やかに借入れできる共済制度です。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、掛金は損金または必要経費に算入できる税制優遇も受けられます。
経営セーフティ共済は、掛金が損金にできるので節税となり、解約すると掛金が戻ってくるほか、もしもの時には借入れもできる制度です。
解約のタイミングに留意して賢く活用すれば、効果的な節税対策になるでしょう。
気になる点などがございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。
加入の条件は…
継続して1年以上事業を行っている中小企業者で、資本金等の額または従業員数の要件いずれかに該当する場合に加入できます。
また、一定の組合も加入対象です。(企業組合、協業組合、事業協同組合、商工組合等で共同生産、共同販売等の共同事業を行っている組合)
業 種 |
資本金等の額 |
従業員数 |
製造業・建設業・運送業その他 |
3億円以下 |
300人以下 |
卸売業 |
1億円以下 |
100人以下 |
小売業 |
5千万円以下 |
50人以下 |
サービス業 |
5千万円以下 |
100人以下 |
ゴム製品製造業 |
3億円以下 |
900人以下 |
ソフトウェア業または情報処理サービス業 |
3億円以下 |
300人以下 |
旅館業 |
5千万円以下 |
200人以下 |
毎月の掛金は…
掛金月額は、5千円~20万円の範囲内(5千円単位)で自由に選べます。
加入後も掛金月額は増額・減額できます(ただし、減額には一定の要件が必要です)。
掛金は、掛金総額が800万円になるまで積み立てられ、掛金総額が掛金月額の40倍に達した後は、掛金の掛止めもできます。また、掛金の前納もでき、前納すると掛金は少し割安になり、1年以内の前納掛金は支払った期の損金に算入できます
メリット…
・無担保・無保証で借入れできる
取引先が倒産し、売掛金の回収が困難になった場合には、すぐに借入れることができます。貸付額の上限は、「売掛金債権」か「納付金額の10倍(8000万まで)」のいずれか低い方の金額です。なお、貸付金は無利子ですが、借入額の10%が納付済の掛金から引かれるので注意が必要です。
デメリット…
・40ヶ月(3年と4ヶ月)未満で解約すると掛金が全額戻ってこない
加入後40ヶ月未満で解約すると、元本割れするので注意が必要です。
なお、12ヶ月未満は掛け捨てになるので、この点も留意しておく必要があります。
・受取り時に課税される
解約時の解約手当金は益金扱いとなり、受け取った事業年度の課税対象になります。
掛金は損金として算入できますが、課税の先送りである点を注意しておく必要があります。
経営セーフティ共済を活用する際は、解約手当金をいつ受け取るかが重要です。
対策としては、退職金や修繕費など支出・投資が大きくなる時期や、赤字になりそうなタイミングで解約して、所得と相殺するなどが有効でしょう。