印紙税の基礎知識 ~貼り忘れ等に注意~
一般に、法人の税務調査では、法人税、消費税、源泉所得税が同時に調査されますが、契約書等が
多数ある業種では、併せて印紙税の調査も行われることがよくあります。
1. 課税文書に該当するかどうかの判断
印紙税が課税されるのは、印紙税法で定められた課税文書に限られています。この課税文書とは、
次の三つのすべてに当てはまる文書をいいます。
①印紙税法別表第一(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証明されるべき事項
(課税事項)が記載されていること
②当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること
③印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書
でないこと
課税文書に該当するかどうかはその文書に記載されている内容に基づいて判断することとなります
が、当事者の約束や慣習により文書の名称や文言は種々の意味に用いられています。
そのため、その文書の内容判断に当たっては、その名称、呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号等の実質的な意味を汲み取って行う必要があります。
例えば、文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号等によ
り、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とし、また、売掛金の請求書に
「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示が売掛金を領収したことの当事者間の了
解事項であれば、その文書は、売上代金の受領書に該当することになります。
なお、印紙税は契約書に記載された内容により取扱いが異なりますのでご注意ください
(印紙税法2・5、印紙税通則4、印紙税基本通達2・3)。
2. 印紙の消印の方法
課税文書に印紙を貼り付ける場合には、印紙の再使用を防止するため、その文書と印紙の彩紋とに
かけて判明に印紙を消さなければなりません(印紙税法8②)。
印紙を消す方法は、文書の作成者または代理人、使用人その他の従業者の印章または署名によります(印紙税法施行令5)。消印は、署名でもよいとされていますが、単に「印」と表示したり斜線を引いただけでは、それは印章や署名にはあたりませんから、消印したことにはなりません。
3. 誤って納付した印紙税の還付
誤って所定の印紙税額を超える金額の印紙を課税文書に貼ってしまった場合は、過誤納金として還
付の対象になります。
還付を受けるには、所轄税務署長から印紙税が過誤納となっている事実の確認を受ける必要があり
ます。具体的には、「印紙税過誤納確認申請書」(税務署備え付け、または国税庁HPより入手)と過
誤納となっている文書を提出します。
なお、文書から印紙を剥がしたり、文書から切り取ったものは手続きができなくなります。
印紙税の時効は5年ですので、5年を超える過誤納の還付は受けられません(国税通則法74①)