ブログ:歴史に学ぶ。
私は幕末にゆかりのある土地を訪れるのが好きです。幕末の激動の中、日本のために志を持って生きた吉田松陰や高杉晋作、坂元龍馬が特に好きで、今年になって長崎、山口、京都、広島を訪れました。以前に観光で来た時とは違い、歴史的背景を追って各々の土地を訪れるとまた違った趣きがあります。
吉田松陰は、幕府に鎖国をやめ開国し外国の技術や制度を学び、敵を知ることで自分たちを守る方法を模索しなければならないと、当時では死罪となる密航を企て、最後の最後まで自分の主張を曲げず打ち首となりました。辞世の句「身はたとえ武蔵野の野辺に朽ちぬとも留め置かまし大和魂」によって松陰の弟子たちは奮起しました。その松蔭が開いた松下村塾は短い期間しか運営していませんでしたが、多くの弟子たちに影響を与えました。その松下村塾を山口の萩市で見ましたが、思ったよりも小さく、この小さな場所から多くの青年たちが志を持って立ち上がり、日本近代化の原動力となったと思うと感慨深いものがありました。今も多くの観光客が訪れています。
この松陰の弟子の高杉晋作は身分によらない志願兵による奇兵隊を結成しました。義理に厚く行動力もあり、また三味線や詩を好む風流な人物でもありました。この晋作の像が山口の下関市日和山講演にあり、その像の大きさに驚きました。これからという時に志半ば「面白きこともなく世をおもしろく」という歌を残しわずか28歳で亡くなりましたが、その生き方に多くの方が感銘を受けています。
坂本龍馬はその当時犬猿の仲であった薩摩と長州を結びつけ、大政奉還など新しい時代の幕開けに貢献しました。その龍馬が設立した日本初めての商社「亀山社中」のあった跡やグラバー邸を訪れました。修学旅行で来た時は、ただの外国人の家としか思いませんでしたが、このグラバーが龍馬と商売を行い、グラバーから得た最新の銃が薩摩藩や長州藩に渡り、軍事力で幕府を圧倒し倒幕の原動力となったことを思いながら見るのとは大違いでした。
いろいろな歴史的背景を知った上で旅行することが、より深くその訪れた土地を知り、また好きになることができると改めて実感しています。
***平成24年7月25日鹿児島建設新聞「木蔭」欄に掲載されたものを一部編集しました。***