お知らせ

4月から労働時間の状況の把握が義務化! ~出勤簿への押印だけではダメ! ~


事業主(経営者)は、例えば、残業時間(残業代)の算定などを行う必要があるため、必然的に従業員の労働時間の状況を正しく把握しなければならないのですが、労働基準法上は明文 化されていませんでした。しかし、長時間労働の是正などを柱とする働き方改革関連法のなか で、労働安全衛生法が改正され、労働時間の状況を把握する義務が明文化されました。

1.労働時間の状況の把握とは?

労働時間の状況の把握については、厚生労働省労働基準局長「働き方改革を推進するための 関係法律の整備に関する法律による改正後の労働安全衛生法及びじん肺法関係の解釈等につい て」(基発1228第16号、平成30年12月28日)において、その考え方が示されています。
(1) 「客観的な方法」とは?
労働時間の状況の把握方法としては、本編で解説した通り、使用者による現認や、タイムカー ド、パソコン使用時間等の客観的な記録による方法のほか、賃金台帳に記入した労働時間数による把握も認められます。
やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合においては、労働者の自己申告による把握が 考えられるとしています。ただし、自己申告による場合には、事業者は、以下の①〜⑤の措置 をすべて講じなければならないとされます。
① 労働者に対して、労働時間の状況の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなど について十分な説明を行うこと。
② 実際に労働時間の状況を管理する者(所属長、工場長など)に対して、自己申告制の適正 な運用を含め、講ずべき措置について十分な説明を行うこと。
③ 自己申告により把握した労働時間と実際の労働時間が合致しているか否かについて、必要 に応じて実態調査を実施し、労働時間の補正をすること。
④ 自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間又は事業場外において労働ができる状態にあった時間について、その理由等を労働者に報告させる場合は、報告が適正に行われて いるかについて確認すること。
その際に、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告さ れていても、実際には、事業者の指示により業務に従事しているなど、事業者の指揮命令下 に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱うこと。
⑤ 事業者は、労働者が自己申告できる労働時間に上限を設け、上限を超える申告を認めない など、労働者の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。
(2) 「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」とは
「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」として、例えば、労働者が直行・直帰する 場合などが、該当するかは、当該労働者の働き方の実態や法の趣旨を踏まえ、適切な方法を個 別に判断することとされています。
また、タイムカードによる出退勤時刻や入退室時刻の記録やパソコンの使用時間の記録など のデータを有する場合や事業者の現認により当該労働者の労働時間を把握できる場合は、自己 申告制は認められません。

2.時間外労働等改善助成金(職場意識改善コース)の助成内容

(1) 支給対象となる事業主
労働者災害補償保険の適用事業主であり次のいずれかに該当する事業主です。
① 前年における労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数が13日以下であり、かつ月間平均 所定外労働時間数が10時間以上である中小企業事業主
② 労働基準法の特例として法定労働時間が週44時間とされており(特例措置対象事業場)、 かつ、所定労働時間が週40時間を超え週44時間以下の事業場を有する中小企業事業主
(2) 成果目標  
支給対象となる取組みは、以下の「成果目標」の達成を目指して実施し なければなりません。
① 対象事業主が、上記(1)①に該当する場合
ア)年次有給休暇の取得促進  
労働者の年次有給休暇の年間平均取得日数(年休取得日数)を4日以上増加させる。
イ)所定外労働の削減
労働者の月間平均所定外労働時間数を5時間以上削減させる。
※事業主が事業実施計画で指定した3か月間について成果目標の達成状況を評価します。
② 対象事業主が、上記(1)②に該当する場合  事業主が事業実施計画において指定した全ての事業場において、週所定労働時間を2時間 以上短縮して、40時間以下とする。
(3) 支給額
上記(2)の「成果目標」の達成状況に応じて、支給対象となる取組みの実施に要した経費 の一部(対象経費の合計額×補助率)が支給されます。
また、常時使用する労働者数が30名以下かつ、支給対象の取組みのうち、次の内容を実施す る場合については、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5になります(上限額を 超える場合はその額が上限になります)。
〇労務管理用ソフトウエア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
〇テレワーク用通信機器の導入・更新
〇労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

① 対象事業主が、上記(1)①に該当する場合の成果目標の達成状況と補助率

成果目標の達成状況 補助率 1企業当たりの上限額

両方とも達成し、かつ年次有給休暇の年間平均取得日数を
12日以上増加させた場合

3/4 150万円
両方とも達成 3/4 150万円
いずれか一方を達成し、かつ年次有給休暇の年間平均取得 日数を
12日以上増加させた場合
5/8 133万円
いずれか一方を達成 5/8 83万円
いずれも未達成 1/2 67万円
② 対象事業主が、上記(1)②に該当する場合の成果目標の達成状況と補助率
成果目標の達成状況 補助率 1企業当たりの上限額
達成 3/4 50万円
【参考】 厚生労働省「『時間外労働等改善助成金』(職場意識改善コース)のご案内」 他