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修繕費か? 資本的支出か?


固定資産の修理費用が、それを支出した事業年度の修繕費(経費)になるのか、資本的支出 として固定資産になるのかは、実務において判断に迷うところです。法令等や実務上の注意点 を確認しておきましょう。

1.修繕費と資本的支出との区分

(1) 修理等の内容が通常の維持管理、原状回復であれば、金額の大きさにかかわらず修繕費として損金経理することができます(参考:法基通7-8-2)。
例: 壊れた機械や車などを原状回復する修理、壁紙の張替え工事、建物や機械などの通常程 度の再塗装工事など
(2) 修理等の内容が資本的支出であっても、下記の場合は修繕費として処理することが認めら れます(参考:法基通7-8-3)。
① 修理等の費用の額が20万円未満
② 概ね3年以内の周期で行われる修理等
(3) 修理等の内容が、新たな機能の付加や耐久性の強化により法定耐用年数が伸びるなどその 資産の価値を高めるものであれば資本的支出になります(参考:法基通7-8-1)。
例:建物の避難階段の取り付け工事、建物等の用途変更のための改造又は改装工事など
(4) 修理等の内容が修繕費と資本的支出の両方の性質を有するためその区分が明らかでない 場合は、次のように処理することができます(参考:法基通7-8-4、7-8-5)。
①  修理等の費用の額が60万円未満又は修理等の対象資産の前期末取得価額の10%相当額 以下の場合は、修繕費とすることができる。
②  修理等の費用の額の30%相当額と修理等の対象資産の前期末取得価額の10%相当額と のいずれか少ない金額を修繕費、残りを資本的支出として継続処理することができる。
例: 窓ガラスの飛散防止フィルムの取付工事などは、「窓ガラスの強化、熱線遮断による冷 暖房効率の向上」と「ガラスの破片の飛散防止」の性質がある。

2.事例で見るこんなときはどう区分する

(1)車両への機器取付けとタイヤ交換を同時に行った
資本的支出とは、固定資産の価値を高め、又は耐久性を増すことになると認められる部分に 対応する金額になります。  修繕費とは、固定資産の通常の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回 復するために要したと認められる部分の金額になります。
耐用年数取扱通達2-5-1(車両に搭載する機器)では、車両に常時搭載する機器(例えば、 ラジオ、メーター、無線通信機器、クーラー、工具、スペアータイヤ等)については、車両と 一括してその耐用年数を適用するとされています。
したがって、車両登載機器は車両の価値及び機能を増加させることから資本的支出に該当す ると考えます。また、新タイヤへの交換費用は、車両の通常の維持管理費用に該当しますので、 修繕費として損金算入ができるのではないかと考えます。
また、車両への車両搭載機器の取付けとタイヤの交換を同時期に同一の業者に依頼して実施 する場合、その業者からの請求書等では一括して取付け交換作業を行った旨の記載内容になっているのではないかと思われます。このような前提で法人税基本通達7-8-3の「一の計画に基 づき同一の固定資産について行う修理改良等」を判断しますと、一の計画に基づいた修理改良 等ではないかとの疑問が生じます。しかし、この場合、車両搭載機器の取付けとタイヤの交換 は同時期に行われていますが、作業内容に関連性があるとは認められず、タイヤ交換は明らか に修繕費に該当することを考えますと、区分して判断することが相当と考えます。
なお、法人税基本通達7-8-3の考え方ですが、同通達には「7-8-1にかかわらず」とあり、 この7-8-1は資本的支出の取扱いですので、仮に資本的支出に当たる場合であっても、少額又 は周期の短い費用に当たるものであれば、修繕費として損金経理をすることにより損金算入を 認める取扱いであると判断されます。
したがって、新タイヤへの交換費用は車両の通常の維持管理費用に該当しますので、修繕費 として損金算入ができるほか、仮に新規車両搭載機器の取付けが総額20万円未満であれば、資 本的支出としての性格を有するものの法人税基本通達7-8-3の取扱いにより修繕費として損金 経理を行うことにより損金算入することができることになります。
(2)消費税の軽減税率対応のためPOSレジ等のプログラム修正を行った
法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修 正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等 に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正 等に要した費用は資本的支出に該当します(法基通7-8-6の2)。
(注) 既に有しているソフトウエア、購入したパッケージソフトウエア等の仕様を大幅に変更して、新たなソ フトウエアを製作するための費用は、原則として取得価額になります。
(3)事務室の蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えた
法人がその有する固定資産の修理、改良等のために支出した金額のうち当該固定資産の通常 の維持管理のため、又はき損した固定資産につきその原状を回復するために要したと認められ る部分の金額は修繕費となります(法基通7-8-2)。一方、法人がその有する固定資産の修理、 改良等のために支出した金額のうち、当該固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増すこと となると認められる部分に対応する金額は資本的支出となります(法令132、法基通7-8-1)。
蛍光灯を蛍光灯型LEDランプに取り替えることで、節電効果や使用可能期間などが向上して いる事実をもって、その有する固定資産の価値を高め、又はその耐久性を増しているとして資 本的支出に該当するのではないかとも考えられますが、蛍光灯(又は蛍光灯型LEDランプ)は、 照明設備(建物附属設備)がその効用を発揮するための一つの部品であり、かつ、その部品の 性能が高まったことをもって、建物附属設備として価値等が高まったとまではいえないと考え られますので、修繕費として処理することが相当です。

3.実務上の注意点

修理・改良等をする前に、見積書をとり、経費化できる内容、費用の範囲かなどを吟味した うえで実施することが必要です。
税務調査では、修理箇所を現物確認することがよくあります。そのため、修理箇所の修理前と後の写真や、具体的な修理内容がわかる資料の作成・保管を指導します。