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特例事業承継税制が適用できるかどうかのチェックポイント

特例事業承継税制(以下、特例税制)の適用にあたっては、「先代経営者」「後継者」「会社」 に一定の要件があり、現状で要件を満たしていない場合は、株式の贈与・相続等の開始までに 要件を満たす必要があります。納税猶予を受けるための手続の流れ(承継計画の策定、贈与又 は相続の実行、認定申請、税務署への申告)を確認し、早めの対策が必要です。

1.後継者へ株式を贈与するまでのプロセス

特例税制の適用を受けるためには、平成35年3月31日までに会社が「特例承継計画」を都道 府県に提出します。計画の作成にあたっては、経営革新等支援機関が指導・助言を行います。
会社は、計画の記載内容に従って、後継者教育、会社の経営改善、事業の磨き上げを行います。 そして、先代経営者は代表権を返上して、後継者が代表者に就任するなど、適用要件をすべて 満たした上で、平成30年1月1日から平成39年12月31日までの間に、先代経営者から後継者に 自社株式を一括して贈与します。
贈与により株式の所有権は後継者に移転しますが、この段階では、贈与税は納税が猶予され ているだけです。猶予された贈与税は、株式を贈与した先代経営者が死亡した段階で免除され ますが、贈与された株式は先代経営者から後継者に相続又は遺贈によって取得したものとみな して相続税が課税され、株式に対応する相続税の全額が納税猶予されます。

2.先代経営者・後継者が同族関係者の中で筆頭株主であること

贈与・相続等の前には先代経営者が、贈与・相続等の後には後継者が、同族関係者(※)で発行済議決権株式総数の50%超の株式を保有し、かつ、その同族関係者の中で、筆頭株主であることなどの要件を満たす必要があります。
後継者以外の同族関係者が保有株式数の上位者である場合は、その株式を整理する(買取等) 必要があります。整理によって、株価の上昇が見込まれますが、それに対する相続税は全額猶 予されます。ただし、全体の課税価格が増加するため、相続税率が上がる可能性があります。
※同族関係者とは
①親族(6親等以内の血族・3親等以内の姻族)
②代表者と親族で50%超の持株割合となる同族会社
③上記①と②で50%超の持株割合となる同族会社  など

3.資産管理会社に事業承継税制が適用できない理由

資産管理会社(資産保有型会社、資産運用型会社)に、個人で保有している現金、不動産、 有価証券、高額な美術品などを資産管理会社に移して、その会社が事業承継税制の納税猶予を 受けることで相続税の租税回避ができないようにしています。
普通に事業を行っている中小企業の場合には、もともと資産保有型会社や資産運用型会社に 該当することは考えにくいでしょう。ただし、過去にしっかりと事業を行っていた会社が事業 転換して、現在は、会社所有不動産を活用して、不動産賃貸業を行っているような場合は注意 が必要です。賃貸不動産は特定資産に該当し、その賃料は資産運用型会社の判定の際の収入になります。