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有給休暇についての素朴な疑問

厚生労働省の調査(平成28年)によると、労働者1人当たり有休の付与日数は18.1日、取得 日数は8.8日、取得率が48.7%でした。政府は、当面の目標として取得率70%を目指しています。 有休の取得促進によって、従業員のストレス解消やリフレッシュにつながれば、経営にも良い効果が生まれます。

1.産休・育休、介護休業を取得した場合の有休の付与について

有休付与の要件である、「全労働日の8割以上出勤」した日数の算定にあたっては、以下の期 間は、出勤したものとして取り扱います。(労働基準法39⑧)
・産前産後の休業期間
・育児介護休業法に規定する育児休業や介護休業を取得した期間
・業務上のけがや病気で休んでいる期間

2.従業員からの有休の取得を拒否できる場合(時季変更権の行使)

従業員からの有休の取得申請(時季指定)があった場合に、その有休取得により「事業の正 常な運営が妨げられるとき」には、会社(使用者)は、有休取得を拒否する権利(時季変更権) があります。この場合、単に指定された時季の有休を拒否するだけでよく、代わりの有休時季 を示す必要はありません。
「事業の正常な運営を妨げる」の判断にあたっては、事業の内容、規模、労働者の担当業務の 内容、業務の繁閑、予定された有休の日数、他の労働者の休暇との調整など諸般の事情を総合 判断する必要がありますが、日常的に業務が忙しいことや慢性的に人手が足りないというだけ の理由では、時季変更権は行使できないと考えられます。
申請した有休日数が多い場合、従業員には事前の調整が必要とされ、それをしない場合には、 会社の裁量の余地が大きくなると解されています。
会社は、労働者が指定した時季に有休がとれるよう状況に応じた配慮をすることが求められ、 配慮を尽くさずに行った時季変更権の行使は無効となります。(配慮義務)

3.年次有給休暇の計画的付与制度

●計画的付与制度

一斉付与方式 全従業員に一斉に有給を与える。
交代制付与方式 班・グループ別に交代で有給を与える。
個人別付与方式

個人別に、夏季・年末年始・ゴールデンウィークほか
誕生日・結婚記念日など従業員の個人的な
記念日などをあらかじめ指定して有給を与える。


上記の表で解説した「計画的付与制度」を導入するには、就業規則への規定の整備と労使協定の締結が必要になります。
就業規則には、「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する 者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとす る」などのように定めます。労使協定には、次のような項目を定めます。
①計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
計画的付与の時季に、育児休業や産前産後の休業をとる人や定年退職の予定の人をあらか じめはずしておきます。
②対象となる年次有給休暇の日数
有休のうち5日は、従業員の自由な取得を保障し、残り日数から計画的に付与します。
③計画的付与の具体的な方法
一斉付与、交替制付与、個人別付与など具体的な方法と付与日数を定めます。
④対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
事業所全体による一斉付与の場合には、新規採用者などで5日を超える付与日数がない人 には、「特別休暇として付与日数を増やす」か、「平均賃金の60%以上の休業手当を支払う」 のいずれかの措置をとる必要があります。
⑤計画的付与日の変更
計画的付与日の変更が予想される場合には、変更の手続きについて定めておきます。