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中小会計要領は共通のモノサシ

 金融機関は企業の実態を正しく捉え、評価することに注力していますが、融資先企業から提出された
決算書がどのような会計ルールに基づいて作成されたものか、または会計専門家がチェックしたものかどうかが不明だと信頼に足る決算書なのかどうかは判別できません。
税理士等の会計専門家のサポートによって月次決算が行われ、その毎月の数値をもとに経営者自身が財務情報や経営方針を金融機関に説明するといった行動が、企業の信頼性に繋がります。そしてその大前提が、中小会計要領に準拠しているかどうかといった点だと考えられます。

1. 貸倒損失・貸倒引当金〜金融機関は滞留債権をどう見ている〜

法人税法上の貸倒要件に該当しないものの、金融機関にとっては実態修正の対象となるような売掛
債権の会計処理、例えば、売掛金が3年も滞留している、売上は毎期減少しているのに売掛金が増加
しているような場合、金融機関は、回収期間が1年を超える滞留債権が売掛金に含まれていることを
問題視します。それは、滞留債権を売掛金や未収入金等として流動資産に計上することは、会計の根
本的ルールである「ワン・イヤー・ルール」(1年基準)に則していないからです。
そのため、滞留債権は、例えば、固定資産たる投資その他の資産に、滞留債権や長期未収入金など
の勘定科目で計上し、その債権の回収可能性が低いと経営者が判断するのであれば、税法基準に関係
なく、貸倒引当金を計上すべきでしょう。

2. 減価償却〜過去の減価償却不足をどう考える〜

一般的に、金融機関は「有形固定資産は実際に稼働しているか、稼働していない場合には、必要な
維持補修が行われ、いつでも稼働できる状態となっているか等を確認し、減価償却は適正な金額で構
成され、圧縮記帳を行った場合などは適正な経理処理が行われているか等を確認する」とされていま
す。この際、減価償却不足額の確認に用いられるのが、法人税申告書別表16の償却不足額の欄です。
また、この別表16において、正しい償却不足額が計上されていないケースが多いということも、金融
機関は認識しており、必要に応じて減価償却明細表を入手し、分析しているようです