お知らせ

消費税率10%への引上げに伴う賃貸借・請負契約等の注意点


2019年10月からの消費税率10%への引上げに伴い、賃貸借、リース、請負などの契約については、施行日(10月1日)の半年前となる4月1日を指定日として、その前日の3月31日まで の契約であれば、施行日以後の引渡し等であっても、8%の税率が適用される経過措置があります.

1.消費税及び地方消費税の税率・軽減税率

2019年10月1日から、消費税及び地方消費税の税率が10%へ引上げられ、同時に軽減税率制 度が実施されます。  経過措置の8%と軽減税率の消費税率は、同じ8%でも、2種類の税率として区分すること に注意が必要です。

 適用開始日 現 行  
 
   2019年10月1日以後
 区分 標準税率
軽減税率
消費税率
6.3% 7.8%  6.24%
地方消費税率
1.7% 2.2% 1.76%
合 計 8% 10% 8%

2.経過措置の対象

(1)指定日(4月1日)の前日までに譲渡契約等を行ったことにより適用されるもの
例)・工事等の請負契約、資産の貸付け契約
・ 予約販売による書籍等の譲渡(施行日前に対価を領収している場合)(※)
・ 通信販売による商品の販売(※)
・ 有料老人ホームに係る終身入居契約に基づく役務(入居一時金に対応する)の提供
(2)施行日をまたぐ取引について適用されるもの
例)
・ 旅客運賃等   
・電気、ガス等の供給等   
・特定新聞等の譲渡(※)
(3)施行日以後に計算を行う場合に旧税率が適用されるもの
例)
・ 施行日前の売上につき対価の返還等をした場合
・ 長期割賦販売の特例、工事進行基準の特例
・ 仕入れに係る対価の返還等を受けた場合   
・貸倒れに係る税額控除
※軽減税率が適用される取引については、経過措置の適用はありません。

3.賃貸借・リース契約の経過措置の対象となる契約とは

経過措置の適用対象となる資産の貸付け等に係る契約は、次の①と②、又は①と③の要件を 満たすものに限られます。 ①貸付期間とその期間中の対価の額が契約で定められていること
②事情の変更その他の理由により対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと
③契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申し入れをすることができる旨の定めがな いこと
家賃については、「家賃の改定協議可能」を旨とする文言が契約書に記載されているケースが 多く、その場合は、上記の要件を満たさず、施行日以後は、10%の消費税率が適用されます。
家賃が、翌月の家賃を前月末に支払う「前家賃」である場合、例えば、2019年10月分の家賃 は9月に支払うことになりますが、10月分の家賃であるため、9月中の支払いであっても、消 費税率は10%になります。

4.請負契約の対象となる契約とは

経過措置の対象となる請負契約は、2019年3月31日までに契約した工事・ 製造に係る請負契約の他、「一定の要件」に該当する測量、設計及びソフトウエアの開発等の請 負契約が含まれます。「一定の要件」とは、次のとおりです。
①仕事の性質上、完成に長期間を要するものであること
②仕事の目的物の引渡しが一括して行われることとされているもの、または目的物の引渡しを要し ない請負の場合は、約した役務の全部の完了が一括して行われるもの
③上記①、②の要件を満たし、その内容について相手方の注文があること

5.建築請負等でよくある実務上の注意点

(1)2019年9月末完成予定が10月以後に延びてしまった場合
2019年4月以後の契約で、9月30日までに引渡し予定の小規模工事が、何らかの事情で工事 が伸びて、引渡しが10月1日以後になった場合、10%の税率を適用しなければなりません。このような事態に備えて、あらかじめ、契約書等には「引渡しが10月1日以後になる場合は10% の税率が適用される」旨の一文を加えておきましょう。
(2)受注した工事を下請会社に発注する場合
経過措置は、発注者と建築業者との請負契約のみならず、その建築業者と下請業者との間の 契約についても適用されます。ただし、2019年3月末間際の契約で、次のような場合は注意が 必要です。
①発注者と建築業者との契約は経過措置の対象として8%の消費税率が適用される。
②この建築業者と下請業者との請負契約の締結が、指定日の4月1日以後になってしまった 場合には、経過措置の対象とならず、10%の消費税率が適用される。